琴古譜から都山譜へ

当ブログではお正月から今まで、
「何やってたんだ?感が有りましたが、
基本毎日尺八を吹き続けている事は確かです(けど上手くならない…)。

本年は元日早々から、某先生より譜面作成のご依頼を頂きました。

「この琴古譜を都山譜に書き換えて」
「かしこまりました!」

某先生は都山流、私は以前(かなり前…)お伝えしました通り、琴古流。
同じ曲をやるのに流派が違うと楽譜が異なるって、変な話ですよね
現在新しく出る楽譜はメジャーな都山流ばかりでして、
マイナーな琴古流ですと、必然的にバイリンガルになってしまうのです
(「なんちゃって都山流」レベルの知識ですけどね

今回のお題は、地歌(というか、それしかない)。
DSC_4207.jpg

納期は1/20迄なので、2週間程度で仕上げたい所
何年か前に受けた依頼では確か「融」を手書きで作成しましたが、
以前にまゆっち先輩がエクセルで縦譜を作成されていたのを思い出し、
「いっちょ、やったるか
と、自ら苦難の道へ突き進むのでした
ソフトは同じくエクセル(Excel)を選択。

いくつか持ってる都山流の地歌楽譜を参考にします
DSC_4211.jpg

3行構成で、右から歌詞(甲・乙等も)、拍の線、運指の順に。
180119エクセル楽譜

避けては通れない、外字作成…。
出来るだけ元の楽譜に近づけた書体にしました。
(一応断っておきますが、この楽譜は個人の趣味で、商売は致しません
外事編集180107
使用した「外字エディター」が最初起動せず、復旧に1日消費
(調子悪い時は、「shift+シャットダウン」です!)

拍の線も外字で作成しましたが、拡大・縮小率が異なると、
左右の余白バランスも変化してしまい、少し連続性が失われました。
作成期間を考慮して、次回?に修正を目指します。
(テキストボックスも考慮しましたが、やはりゴチャゴチャしすぎ

また、既に気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、
現在の都山譜に必ずある「小節線」を、私のワガママで削除しました。
今回一番やりたかった試みです。

発端は、この楽譜。
DSC_4212.jpg

小節線が有りませんが、れっきとした都山譜です。
DSC_4213.jpg

知人が古書店で手に入れた楽譜で、発行日がなんと「大正13年」 DSC_4214.jpg

そもそも地歌は4/4拍子でない(1/1拍子?)上に、
「何小節目から~」なんて合わせ方は致しません。
糸方は歌詞か口(くち)三味線で場所を指示されます。

琴古流の人間としては、ぜひやってみたかった拘りでしたが、
お渡しした相手がどう思われたかは、少し心配
後は歌詞付け。

「楽譜に書いてある文字をそのまま入力したら良いのでは?
と思われた方は、琴古譜の恐ろしさに気づいていませんね
…平仮名が読めません(私だけなら、これ幸い)
180119琴古歌詞

古文書研究家の父上によると、
「明治(時代)の人は読めたと思う」
との事。もちろん、今回の歌詞は父上が完全翻訳
DSC_4209.jpg
琴古の皆さんは崩し字の勉強をされているのでしょうか?
上記の作業を地味にこなすも、持ち前?の集中力の無さから悪戦苦闘
(いつの間にかネットサーフィンやブログ作成に走ってしまう

依頼から2週間経った1/15(月)にようやく完成しました DSC_4216.jpg
データをPDF化し、メールで送信
相手方には途中経過のサンプルをお渡しして了承を得ていますが、
自己満足なだけで、実際は使い辛くなかったか、やはり心配です
無事、演奏して頂けますように

奏(尺八など)

Posted by SOU